前回は、「教育基本法」と「学校教育法」から、わたしが個人的に重要だな~と思う個所をピックアップしてみました。

今回は、
「教育基本法」と「学校教育法」を読み込んだ、わたしの個人的な意見を、お話します。
1.大学は、国・地方公共団体・学校法人が設置する
戸建て住宅の場合、施主のニーズに寄り添った設計を行うことは、建築士として当然のことですよね。
一級建築士の令和6年のお題である「大学」を考える際にも、施主である発注者のニーズに寄り添った設計を行うことが、なによりも大事かな~と、わたしは思います。
ところで、大学の発注者って、誰なんでしょう?
学校教育法2条には以下のように明記されています。
「学校は、国立大学法人・公立大学法人・学校法人のみが、これを設置できる。」
国立大学法人・公立大学法人・学校法人、違いは何でしょうか?
・国立大学法人は、国立大学を設置し運営する独立法人、でも運営費は国が負担している。
・公立大学法人は、公立大学を設置し運営する独立法人、でも運営費は地方公共団体が負担している。
・学校法人は、私立大学を設置し運営する法人、主な収入は学生からの学費になる。
国、地方公共団体、民間、いずれも潤沢な資金があるわけではなく、懐事情は厳しいようです。
少子化で受験者数の減少による学生獲得のための競争、成果が見込める研究でないと補助金を勝ち取れない、、自由な研究ができない、、等々、ちょっとネットでググってみるだけでも、現状の大学運営の大変さが伺い知れます。
2.大学の施設に求められることとは?
「大学の施設に求められること」について、教育基本法・学校教育法には、明記されていません。
ですが、条文から読み取れる内容から言って、以下のような感想を持ちました。
「研究と教育の場として最適な空間を提供すること」
どんな空間にするのかについては、今後のニーズ調査で、ひも解いていく予定です。
上記で言っているのは、あくまでも、私個人が、法律の条文から感じ取って出した答えです。
条文をどう解釈するかは、人それぞれかなと思います。
以下に条文を載せておきますので、皆さんも、自分なりの答えを出してみてくださいね。
「教育基本法」より
7条 (大学)
大学は、学術の中心として、高い教養と専門能力を培うとともに、深く心理を探求して新たな知見を創造し、これらの成果を広く社会に提供することにより、社会の発展に寄与するものとする。
大学については、自主性、自立性その他の大学における教育および研究の特性が尊重されなければならない。
12条 (社会教育)
個人の要望や社会の要請にこたえ、社会において行われる教育は、国および地方公共団体によって奨励されなければならない。
国および地方公共団体は、図書館、博物館、公民館その他の社会教育施設の設置、学校の施設の利用、学習の機会および情報の提供その他の適当な方法によって社会教育の振興に努めなければならない。
「学校教育法」より
83条
大学は、学術の中心として、広く知識を授けるとともに、深く専門の学芸を教授研究し、知的、道徳的および応用的能力を発展させることを目的とする。
大学は、その目的を実現するための教育研究を行い、その成果を広く社会に提供することにより、社会の発展に寄与するものとする。
137条
学校教育上支障がない限り、学校には、社会教育に関する施設を附設し、または学校の施設を社会教育その他公共のために、利用させることができる。
3.大学について調べるなら、文部科学省のサイトへ
国立・公立・私立の違いに関わらず、以下のような決まりがあります。
・大学は、文科省の所轄
・大学は、文科省が定めた設置基準に従う
・大学を設置する際には、文科省の認可が必要
・大学に対して、文科省は、勧告したり、組織の廃止を命じたりできる。
大学は、かなり文科省に縛られていることが、伺い知れますね。
実際、文科省のサイトには、大学に関する情報が、読み切れないほどあります。
製図試験の参考になると思いますので、ぜひサイトを覗いてみてください、おすすめです!
以下は、文科省関連のピックアップです。
「学校教育法」より
3条
学校を設置しようとする者は、学校の種類に応じ、文部科学大臣の定める設備、編制、その他に関する設置基準に従い、これを設置しなければならない。
4条
次の各号に掲げる学校の設置廃止、設置者の変更その他政令で定める事項は、それぞれ当該各号に定める者の認可を受けなければならない。
一号 公立または私立の大学および高等専門学校 文部科学大臣
二号 ...
15条
文部科学大臣は、公立または私立の大学および高等専門学校が、設備、授業その他の事項について、法令の規定に違反していると認めるときには、当該学校に対し、必要な措置をとるべきことを勧告することができる。
文部科学大臣は、前項の規定による勧告によってもなお当該勧告に係る事項が改善されない場合には、当該学校に対し、その変更を命ずることができる。
文部科学大臣は、前項の規定による命令によってもなお勧告事項が改善されない場合には、当該学校に対し、当該勧告事項に係る組織の廃止を命ずることができる。
94条
大学について第3条に規定する設置基準を定める場合および第4条第5項に規定する基準を定める場合には、文部科学大臣は、審議会等で政令で定めるものに諮問しなければならない。
95条
大学の設置の認可を行う場合および大学に対し第4条第3項もしくは第15条第2項もしくは第3項の規定による命令または同条第1項の規定による勧告を行う場合には、文部科学大臣は、審議会等で政令でさだめるものに諮問しなければならない。
98条
公立または私立の大学は、文部科学大臣の所轄とする。
107条
大学においては、公開講座の施設を設けることができる。
公開講座に関し必要な事項は、文部科学大臣が、これを定める。
142条
この法律に規定するもののほか、この法律施行のために必要な事項で、地方公共団体の機関が処理しなければならないものについては政令で、その他のものについては文部科学大臣が、これを定める。
4.大学の教員のお仕事は、教授・指導・研究
大学の教員と一口で言っても、下記のように、順列があるようです。
・教授
・准教授
・助教
・助手
・講師
教員のお仕事は、学生に学術を教え、学生の研究を指導し、自身の研究をする。
大学の教員は、とても忙しいでしょうね、、教えて、指導して、研究もしなくちゃならないなんて、、、。
大学の施設では、学生と教員がいて、互いにとっては、以下のような関係なのかな~と、イメージしてみました。
「学生は、講義を受け、自立的に研究し、それを教授・指導する、指導者である教員がいる」
「教員は、自身の研究を抱えながら、講義をし、個別に指導をすべき学生がいる」
「学校教育法」より
92条
大学には、学長、教授、准教授、助教、助手および事務職員を置かなければならない。ただし、教育研究上の組織編制として適切と認められる場合には、准教授、助教、助手を置かないことができる。
大学には、前項のほか、副学長、学部長、講師、技術職員その他必要な職員を置くことができる。
学長は、校務をつかさどり、所属職員を統督する。
副学長は、学長を助け、命を受けて校務をつかさどる。
学部長は、学部に関する校務をつかさどる。
教授は、専攻分野について、教育上、研究上または実務上の優れた知識、能力および実績を有する者であって、学生を教授し、その研究を指導し、または研究に従事する。
准教授は、専攻分野について、教育上、研究上または実務上の優れた知識、能力および実績を有する者であって、学生を教授し、その研究を指導し、または研究に従事する。
助教は、専攻分野について、教育上、研究上または実務上知識および能力を有する者であって、学生を教授し、その研究を指導し、または研究に従事する。
助手は、その所属する組織における教育研究の円滑な実施に必要な業務に従事する。
講師は、教授又は准教授に準ずる職務に従事する。
5.専門職大学・大学院・研究所
令和6年の製図試験のお題には、あまり関係ないかな、とも思いますが、、。
これって何だろうと気になるくらいなら、一度、ちらっと確認しておけば、気持ち的に楽になります。(わたしは、ですが、、)
専門職大学というは、比較的最近になって登場した大学です。
普通の大学と比べて、学問よりも特定の専門職業人を養成するのが目的とされています。
詳しいことを知りたい方は、文科省のサイトへどうぞ。→専門職大学
「大学教育法」より
83条の2
前条の大学のうち、深く専門の学芸を教授研究し、専門性が求められる職業を担うための実践的かつ応用的な能力を発展させることを目的とするものは、専門職大学とする。
96条
大学には、研究所その他の研究施設を附置することができる。
97条
大学には、大学院を置くことができる。
6.まとめ
「教育基本法」と「学校教育法」から、わたしが個人的に感じたことを、お伝えしました。
また、令和6年の製図試験に向けて、独学するための手掛かりとして、「文科省の大学の設置基準」があるという、ヒントを拾いました。
次回のニーズ調査③では、「大学設置基準」のうち、製図試験に関わってくる条文を抜粋して掲載します。
時間が無くて、いちいち全文をチェックできないよ~という方は、ぜひ覗いてみてくださいね。